[コメント] 女と男の観覧車(2017/米)
ブリキ玩具のような毒キノコ色のコニーアイランド。どす黒いオレンジ色に染まる女の部屋。窓外には観覧車が血を滴らせた骸骨のような姿をさらす。いつしか女を包む希望もどきの青ざめた光も生気なく虚ろだ。女は自分の閉塞と願望の振れ幅の極端さに気づいていない。
同じように“自ら人生を踏み外す女”を描いたウディ・アレンの『ブルージャスミン』(13)に、今回、ヴィットリオ・ストラーロが加えたのは、人の欲望と心の油断が行き交うワンダーランドの「虚飾と毒」の視覚化だ。それは、過剰で鬱陶しいおせっかいでもあり、映画屋の止むに止まれぬ矜持でもあるのだろう。
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