[コメント] 万引き家族(2018/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
よく作品情報も確かめず、時間があうからと日本語字幕付きの上映を見てしまった。活字中毒の私はつい字幕を読んでしまうので、役者の表情をよくみる事が出来なかった。途中から意識して字幕を見るのをやめたら、画面がよく見えた。ただし意識してあるものをみない、というのは妙に疲れる経験だった。
映画は「万引き家族」の日常を丁寧に撮っていく進行で、ドラマを呼べるほどのことはない。この家族のような集団は結局、監督が見せたかった作り物なので、ファンタジーといった性格である。ドラマが始まるのは、「妹」を助けるために派手に万引きをして捕まる「兄」の行動からである。ここから世間との対比が周到に計算された画面とセリフで描かれる。ジャーナリストは社会正義を持ち出して(あるいは何かの価値観から主張される正しいことから)現実を批判し、ものごとのあるべき姿を描くのが仕事だが、ここではこの家族を使って、社会の考えを描くだけで価値判断は押さえている。ここがジャーナリストになりきれない監督と呼びたくなる所以である。
この映画の中で物語にリアリティが感じられるのは、たとえばTVの画面に行方不明の少女が報道される場面であり、民生委員が訪問してくる場面である(この家の外からの視点の位置が人間の目よりも高く、こまかな場面設定の意志を感じる)。さらに後半の警察の取り調べや、マスコミのインタビューの場面である。このファンタジーの家族が現実を映すいわば鏡の働きをしている。現実を映すんだからドキュメンタリーだけど、それはファンタジーの装置を通してなのだ。
子役はうまいし(といっても虐待にあった子どもには見えなかった)やすらぎの里以来のファンである、松岡茉優のパリ・テキサス風の風俗シーンとはみ乳とセリフにあったおっぱいはよかった。立川シネマ1はじじばばで4割の入りだった。帰る道すがら「なんだかすっきりしないわね」という見知らぬばば様の感想に私も同感です。
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