[コメント] キッスで殺せ(1955/米)
ジャンルを代表するような印象的な光と影の演出で始まり、ジャンルにそぐわない印象的な光と影の演出に終わる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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フィルムノワールの白黒画面の美。ハードボイルドの躍動。それらが魅力的に描かれていながらも、この作品がもっとも際立つのは、ジャンルに異質なものが唐突に割り込んできて以降の有無を言わせない終幕にある。
暴力による自己肯定がこの探偵ものの全編通してのテーマであろう。なのに最後主人公はただ呆然と圧倒されてしまう。しかしこの作品は、ハードボイルドのヒーローのアンチテーゼを語りたがっているわけではない。まさにジャンルの王道を走っているうちに、異質なものが突然割り込んできたと思ったら、あっけにとられているうちに終わってしまうのである。「なんだこれ」な作品だからカルト作品なんでしょうね。
ロッカーの中でのチラ見せが、結局ラストまで牽引していくほどの力強さを持っていたことが勝因だろう。強烈な光源とそれがもたらすコントラストが、冒頭の夜の歩道と終幕の夜の渚に明滅して作品をひとつにつなぎあげている。
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