[コメント] タバコ・ロード(1941/米)
本作はジョン・フォードのFOX時代の文芸映画の系譜ととらえることもでき、確かに緩やかな文芸映画らしい時間演出を試みられている部分もあるのだが、しかし一方でどんなフォード映画とも似ていない圧倒的な破壊の映画である。いや映画史上で、このような破壊的な自動車の使われ方をした例が他にあるだろうか。
デュードとシスター・ベッシーが結婚し車を買いに行く一連のシーンが最高。皆、一緒に歌を唄うことで何の問題もなかったように通ってしまう。ハワード・ホークスと違いミュージカルというジャンルを撮ることのなかったフォード。だが多くのフォード映画では登場人物達の唄う場面もあり、『リオ・グランデの砦』『静かなる男』をはじめ殆どのフォード映画はミュージカル的側面があるとも云えるけれど、本作のこの「Sowing in the morning」「Shall we gather at the river」「In the sweet bye and bye」を繋ぐ一連のシーンは本当に常軌を逸している。現実らしさを遥かに飛び越えているという意味において真にミュージカル的であり映画的だ。
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