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[コメント] 落下の王国(2006/インド=米=英)

傑作。無茶なロケーション好きには堪らない映画だ。また、高速度撮影嫌いの私でもこの黒白のタイトルバックには参ってしまう。それは「橋」「河」「馬」「列車」「蒸気」「煙」といった数々の映画的アイテムのダイナミズムが見事に捉えられ、増幅されているからだ。才能でも努力でもなく、偏執が生んだ映画。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







劇中でリー・ペイスが語る物語はその虚構性の明示にもかかわらず、あるいはそれゆえに徐々に「現実」に侵されてゆくのだが、虚構と現実がせめぎあうそこに必然的に生じる「痛み」はまぎれもない真実であり、だからこそ少女はハッピー・エンディングを求めて泣く。私も泣く。ここで「痛み」とは「映画」の別名にほかならないからだ。これは映画の原風景を求めたターセムの私的な旅なのかもしれない。無声映画とスタントへの愛が炸裂するラストにもまた、私は涙を抑えることができない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)緑雨[*] 赤い戦車[*] おーい粗茶[*] Myurakz[*] Yasu[*] シーチキン[*] セント[*]

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