[コメント] 歩いても 歩いても(2007/日)
悪意ある本音がいつあふれ出るかとひやひやさせられる緊張感が絶品。勿論それを実現させているのは是枝の演出である。隣室での会話が聞こえてくる状況でフレームの外にいる人物の会話を織り交ぜたり、主観の切り替え方などがよく考えられている。阿部寛がやたらと携帯をチェックする場面で露骨に開閉音を鳴らすなど、無粋な演出があったりもするのは相変わらずだけど。
それと、急坂と階段だらけの海沿いの丘の町というロケーションが素晴らしい。高台からは京急の電車が通り過ぎるのが見える。三浦半島。こういう映画はこのように地理設定を明らかにして土着的に撮ったほうがリアリティが増す効果がある。
「歩いても、歩いても」はそう来たかと思ったが、隠喩も含まれているのだろう。大家族の心地よさと煩わしさ。観ている最中は気づかなかったが、確かに小津だ。
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