[コメント] マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007/仏=中国=香港)
この映画とっても気に入りました。まず基本的に相も変わらずウォン・カーウァイのルックなのが嬉しい。『夢二』のテーマ(ハーモニカバージョン)まで流れるのだから恐れ入る。撮影者もダリウス・コンジという当代一の斜光の名手を招き豊かな光と色彩を獲得している。
ただ、本作では美術・衣装のウィリアム・チャンが編集も担当しており、もしかしたら、カーウァイのルックの肝はウィリアム・チャンなのかも知れない、と思ってしまった。本作も高速度撮影とそのカッティングの決まりようは比類ないものがある。とにかく格好いい!
主演のノラ・ジョーンズは確かに上手いと思わせる演技は全くない。例えば、「フィールズ・ライク・ホーム」の表現力を過剰に期待すると幻滅してしまうのも納得できる。しかし、それでも悪くないのだ。映画においては上手い演技など不要だ。デヴィッド・ストラザーンやレイチェル・ワイズやナタリー・ポートマンが映画俳優らしい、ある種模範的・類型的な(でもそのオーラは矢張りとっても格好いい)演技をする横で、単に困惑した顔をさらけ出すノラ・ジョーンズには「演技ロボット」ではない生身の人間性を暴露する映画的な存在感がある。登場シーンから続くジュード・ロウとのやりとりの硬い表情が、ベガスのシーンのポートマンとのやりとり、病院前でもカー・ディーラーの場面でも、とってもいい顔になっている、という映画内成長が見られるところもいい。
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