[コメント] カポーティ(2006/米=カナダ)
自然体で生きることが、人間にとって最も幸せであるというまことしやかな嘘。カポーティは言った、「私は正直に書くのだ」と。作家が正直に書くということは、まさに自分の意のままに素直に生きるということに他ならない。でも私はカポーティにはなりたくない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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自らの感情に正直になったとき、ある男は殺人という罪を犯した。作家は自らの感情に正直になったとき、その殺人者への極刑執行を一心に待ち望んだ。自分に正直に生きるということが、こんなにも他人を苦しめ自らをもさいなむことなのだとしたら、いっそうのこと適度な虚飾をまといながら、誠実さと不誠実さのはざ間をのらりくらりと生き続けている方が、よほど平穏で幸せなのかもしれない。私のように。
お洒落なカシミアコートに身をつつみ、カンザスの片田舎に颯爽とたたずむカポーティのなんといやらしく傲慢で、格好良く正直なことよ。
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