[コメント] 用心棒(1961/日)
能ある鷹は爪隠す。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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もしくは漁夫の利。あるいは風が吹けば桶屋が儲かる。
監督の「よ〜し、面白いものを作ってあっといわせてやろう」という意気込みが充満している。
冒頭、捨て台詞ならぬ捨て笑顔ですたこらさっさと逃げ出す藤田進を始め西洋かぶれのダンディな仲代達矢、やけに能天気な加東大介、最初っから情けない顔の志村喬ら姑息な男たちと対比するかのごとく、余裕綽々の三船敏郎。山田五十鈴の存在感も忘れてはならない。そんな彼らは皆一様にカリカチュアされて描かれている。あたかも幻想世界の幻想住人の如く。
単純な面白さ。そのためには設定はシンプルな方が成功しやすい。それは背景にしろ人物にしろ当てはまる。それをよ〜く分かっていらっしゃる。犬が人の手をくわえて走ってるのにやけに陽気な音楽が流れる。結構残酷なシーンをさらりと撮ってしまう。このセンス。
この映画のもうひとつの主役、それは風。
風が吹けば、枯葉が散る、マフラーゆれる、桶屋が儲かる。右へ左へ、西へ東へ、風を切って歩く三船敏郎は普段の堅苦しい演技とは違い、やけにクールに決めて格好よく、絵になる。文字通り高みの見物を決め込むその姿とその下で戦うチンピラどもの姿の絵面の対比はもう喜劇。
それでも最後に実力を存分に発揮した三船の周りにもやはり、風が強く吹いていた。
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