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[コメント] ネバーランド(2004/英=米)

作り話で現実を誤魔化すしか能が無い、ダメ男のストーリー。
ダリア

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とても良かった。感動した。号泣した。

けれどもこの作品は私にとって「完璧な傑作」ではなく、どこか隙のある作品で終わってしまった。

1つには、既に他の方がコメントに書かれている通り、ジェームズの妻メアリーへの接し方が酷すぎる。他の家庭の心配をするよりも自分の家庭の修復は・・・?と、お節介ながら思ってしまった。だが、ファンタジー作品を創造する劇作家、自身が大人になりきれていない、世間の常識では「ダメ男」だからこそ、傑作“ピーターパン”が生まれたのかもしれない。そう、少年の心を持っているからこそ。

そしてもうひとつ感じたのは、次男ジャックの今作中の扱われ方である。

私は4兄弟のうち、長男ジョージに一番感情移入した。年長である彼は、弟達のように甘えてばかりはいられない。自分がしっかりしなければと、涙を隠して背伸びをしなければいけない立場に立たされた。そんな彼は、ジェームズとの出会いにより、本当に成長した姿が描かれている。

無論母親でも、全ての子に対して完全に平等に接することは出来ないだろう。気難しく大人達に心配をかける3男ピーター、無邪気だけど幼くて手の掛かる4男マイケル。どうしてもこの2人に手が掛かってしまうのは仕方が無いと、私も判っている。判ってはいるんだけど。

次男ジャックに対する、母親の「あなたはもう大きいんだし、心配事も無いし、お兄ちゃんを助けながら弟達の面倒を見て頂戴」と言わんばかりの、ぞんざいな扱いが気になった。一見手がかからないお利口さんだって、父を思ってひとり泣いているかもしれない。母の愛情をもっと受けたいと願っているかもしれない。「ノーマーク」と位置づけられた子供も、心は悲鳴をあげているかもしれない。

「ジャックの見せ場をもっと作れ」と言っているのではない。ピーターの陰で「その他、子1名」で適当に扱われた「普通の子」を、一度でもゆっくりと抱きしめてあげる描写が欲しかった。

そんな幾つかの細かい点は気になったものの、この映画はやはり秀作だと言わざるを得ない。おとぎ話と現実の融合もファンタジーらしくて良かったし、何と言ってもデイヴィズ宅で演じられた劇が終わった後、拍手しているお婆ちゃんを見て、鳥肌が立つほど泣いた。

(評価:★4)

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