地球のみなさん、こんにちは。私はＸ星人です。グラサンのおかげで映画を見るのが辛かったが、頑張って見てきたぞ。

近年のゴジラ映画はなんらかのテーマを盛り込まなければ、ゴジラ映画ではないといった悪しき風潮が東宝にはあったのだな。それをこの映画は最後で断ち切ってくれたぞ。

怪獣同士のバトルや怪獣がビルを蹂躙する、そのカタルシスが怪獣映画なのだ。

「アンギラス・ボール」というトゲ棘生物ゆえのアイデアはコロンブスの卵的発想だったけど、怪獣のクールな画も盛り沢山だったな。「ラドンのソニックブーム」を映像で見ることが出来たし、「ゴジラがガイガンの頭を吹っ飛ばしたシーン　ｉｎ　南極」も我らがガイガンがやられたにせよカッコイイ。特に北村一輝参謀の「ガイガーーーーン起動！」からの地面から繰り出してくる一連のガイガン登場シーンは最高に鳥肌が立ったぞ。

着ぐるみのこだわりにも感心したぞ。特に、あの細いマンダやカマキラスの中に入れるというのも地球人侮りがたしだな（←念のためネタです）。

北村監督もそれなりに昭和ゴジラを理解しているな。過去に共闘した怪獣たちをゴジラは葬っていない。ラドン、アンギラス、キングシーサーは埋めただけ。クモンガも『怪獣総進撃』で共闘したので飛ばしただけ。カマキラスはあくまでも敵だったので、しっかりと葬っている。このこだわりには感心させられる。

また、世界に発信するゴジラ映画だからこそ、初の「リアルMt．富士をバックのゴジラ」の画も良かった。

「ゴジラの放射能が宇宙にまで飛び出して隕石撃墜」なんて、過去にない”名画”は多いんだけど、場面と場面をつなぐ接続詞が無いという演出の弱さは随所に感じさせられたぞ。

バカ映画に徹してくれた方向性のおかげで、我々Ｘ星人もまずまず面白いと思った。もちろん、人間パートのアクションは半分に削って２０分は短縮できたと思えるけれど、これは人間・北村の暴走ではなく製作陣の要望だったらしい。その分怪獣シーンに充てて欲しいとも思うが、過去の作品だって人間パートであくびが出るのは多々あるので、やはり短縮の方向が正解だな。ただし、せめてへドラには東京上空を飛行させて、「ヘドロが渋谷女子高生の頭にボトボト落ちる」なんてシーンが欲しかったぞ。

ゴジラに振り返させるという、ゴジラ自身に未練を感じさせたのにはゴジラを知らなかった（何故だ？）Ｘ星人としてもホロリとさせられたよ。この振り返り咆哮させたのが「ゴジラ５０年の総決算」に相応しい名シーンなのだ。ゴジラよ、暫く鋭気を養ってくれ。

諸君、来年からはシートベルトをする律儀者ミニラ君の活躍に期待を寄せよう・・・ん？