★2 | 大盗賊(1961/仏) | 女に対して浮気性で不誠実なのに義賊ぶったってと思うし、C・Cよりオディールの方が確かに良いわなって俺の合わせ鏡と化したベルモンドを見てるのがしんどい。であるから悲壮めかした終局は拷問。チャンバラもドロンに比べて上手くないよ。 | [投票] |
★4 | さよならを言わないで(1969/伊) | 行き場のない刹那感に思い出はあくまで美しく縁取られ、やがて確実に来る終着点に向かって愛は昇華されていく。そして、美しい2人を、これ又圧倒的に美しく哀しい秋の佇まいが包み込むのだ。世の規範に背を向けてひたすらに閉じた世界に埋没していく佳品。 | [投票] |
★4 | 空に住む(2020/日) | 依る処見つからない彼女がタワマンの高層階という中空の覚束なさの中で逆説的に何かが解放される。柵から隔絶された幻影の恋が舞い降り、浮世の垢を癒してくれた猫は逝く。これからは呑んで溜めた怒りや苛立ちも大声で表明するだろう。透明感に彩られた寓話。 | [投票(1)] |
★3 | 真夜中の招待状(1981/日) | 謎を探究する旅路が剣呑な帰結に辿り着く点で『影の車』に通底するが興味は持続しない。サイコな味付けを加味し一応は野村演出は飽きさせない出来だが当然の如く何の感銘も涌かない。ただ小林麻美はひたすら美しい。どうでもいいような役だが美しい。 | [投票] |
★4 | 白昼の決闘(1946/米) | 煮湯を飲まされ続け転がり落ちていくジェニファーの変遷がアメリカンな合理性から遠くセルズニックの西洋ロマン主義への傾倒を伺わせる。鉄道敷設の近代化が世代交代を促す原『大いなる西部』的悠久。そして腐れ縁は昇華されて浄瑠璃的に帰結する。 | [投票(1)] |
★3 | 蘇える金狼(1998/日) | 低予算を逆手に取ったような侘びしくも暗い情念が相当に良い味わい。大風呂敷を広げる前にその余地もなかった箱庭世界で充足している。だが、時代に即応しようとしたシステム攻略になると馬脚を現し低予算のショボさが際立ってしまった。ローテクでいいのに。 | [投票] |
★3 | シカゴ7裁判(2020/米) | 格差を映し1枚岩でないベトナム反戦運動の内部相剋や厭戦が敷衍しつつある時代のムードの表出など出色の部分を認めつつ、この余りな茶番裁判が所詮は否定された歴史的事実がわかっている今、映画化する意味って何と思う。勝ち馬に乗ってアホ叩いてるだけ。 | [投票(1)] |
★2 | 悪魔の部屋(1982/日) | ガラス窓1枚隔てた外は都会の喧噪というのが現実・非現実の境界を際立たせるが監禁ものの刹那から遠ざける。そんなこと抜きにしても密室で続く男と女の関係が変質していくドラマは淡泊でペラペラ。ただただ中村れい子が美しい。それしか見る価値はない。 | [投票] |
★5 | フェアウェル(2019/米=中国) | 一族の数十年ぶりの邂逅なら我が立ち拡散するところ、死期迫る老母への思いのベクトルに沿い同心円を形成する。フェイク披露宴のドタバタが映画を牽引する片隅で彼女の祖母への追慕はアイデンティティの揺らぎを確認させる。そこから始まる物語と消えゆく命。 | [投票] |
★2 | ラウンド・ミッドナイト(1986/米=仏) | 雲上人と簡単に仲良くなるので有難みがない。起点がなければ最後も結び切れないし途中だって転がらない。有名プレイヤーとの凡庸な交流譚以上のものではない。ジャズが好きでムードに酔えればそんなことどうでもいいのかもしれないが門外漢にはキツ過ぎる。 | [投票] |
★3 | とんかつDJアゲ太郎(2020/日) | フロアをアゲるとトンカツ揚げるの共通点を本気で紐解く気がなく各々の修練が並置されるだけで空虚。結果、仲間と共に落とされ這い上がり彼女もゲットの凡庸な少年漫画マターが前面に出た。匠海の能天気演技も激しく柄じゃない。伊勢谷は良いのにね。 | [投票(1)] |
★3 | ジャスティス 闇の迷宮(2003/米=スペイン=英) | 俺の与り知らぬ世界があるのだろうが、常識的に内政要因に依り抹殺された幾多の人々の事を問題提議するのであれば予知とか幻視とかを持ち出すのは不要なのに自棄に正々堂々とやってるので困惑する。加えてバンデラス主演は要らぬ劇的な期待をさせ厄介。 | [投票] |
★4 | 星の子(2020/日) | 学校での顛末が後段で放逐される構成が彼岸に来てしまったような越境感を醸す。山道を行く観光バス窓外の渓谷バイパスの現世。両親を捜しての閑散とした夜の施設内の彷徨で彼女の何かが変わったわけではない。だが外と内を知り世界は広がった。取り敢えずは。 | [投票(4)] |
★1 | 地獄の天使 紅い爆音(1977/日) | 数年後に日本映画の一時代を担う陽造と荒井がロジカルな構成の因縁劇を構築しているが、如何せん主演が余りに大根過ぎて背負った陰だけが強調され番を張ったという強靱さが余り感じられずケレンだけが上滑る。何だか見てるのがひどくこっ恥ずかしい。 | [投票] |
★4 | 三人の妻への手紙(1949/米) | 全篇を覆う不在の女性アディ・ロスの影が緊張感を途切れさせないが、整然と並んだ3題噺構成が映画を収縮させる。ダーネルの挿話が最良。それは窓外を列車が通るたび揺れる実家といったギミックも寄与してる。こういう遊びがもう少しあればと思わせた。 | [投票] |
★3 | ファイナルファンタジー(2001/日=米) | リアルをトレースしただけのCGとしても見入ってしまうこの技術とかけたであろう金と人力は認めるが、借り物ばかりのキャラや設定が所詮ゲームメイカーの馬脚を現す。オリジナルな創造意欲が物語を起動する瞬間が皆無で世界に向けて発信するには恥ずかしい。 | [投票] |
★4 | ストレイ・ドッグ(2018/米) | 生きる縁を無くして娘への母性だけが辛うじてこの世への未練。そんな彼女が舞い込んだ帳尻のつけ場に青息吐息で立ち向かう。皆がくすぶってしまった現在から振り返る苦渋の過去の唯ひとつの真実だった愛を胸に円環は閉じ眠りにつく。お疲れ様と心から思える。 | [投票] |
★2 | レッドチェリー(1995/中国) | ナチスの非道と退廃を描いた映画は山ほどあるわけだが、刺激的なエッセンスをおっかなびっくり抽出してトレースしただけのもの。実話であるなら半端な扇情的描写は失礼というものだ。抑制はあるが自立的なものとも思えない。どっちに振れるか覚悟が足りない。 | [投票] |
★3 | スパイの妻(2020/日) | 逆賊の妻に堕ちる決意に世界視野の判断なぞ微塵も関与しない女の性に黒沢は元より関心がないのに女優蒼井優の表現力が辛うじて崩壊を繋ぎ止めてしまう。それでも一大クライマックスになる筈のスクリーン前での大見得は展開の表層性ゆえに虚しく空転。 | [投票(5)] |
★3 | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984/米) | イタリア人のレオーネが撮るユダヤ移民たちの「あめりか昔話」には、当然であるが史的蓋然性は欠片もない。阿片を吸ってノスタルジアに耽溺する主人公に同期する演出はダダ漏れの情に塗れていく。深みのある撮影と素晴らしい美術に彩られた爺いの戯言。 | [投票(1)] |