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[POV: a Point of View]
愛憎の狭間の3人の男〜憎み切れないろくでなし〜(邦画篇)

A:大島渚 B:鈴木清順 C:北野武
B★2殺しの烙印(1967/日)モノクロ画面で若干はそれらしく見えるものの、透徹した様式美が未だ確立されているとも思えないので、「ごっこ」のような小便臭さだけが画面に蔓延している。中身ゼロの物語には相当な覚悟が要る。日活解雇の切欠としての伝説味は所詮は陳腐化するしかない。投票
B★2陽炎座(1981/日)ツィゴイネルワイゼン』が10年以上寝かせた特上のワインだとすれば、こいつは即席のカストリ酒だ。ペラい役者が織りなす清順歌舞伎というより紙芝居。余裕の無い優作は木偶の坊にしか見えなく、陽炎座の部分も冗長としか思えない。投票(3)
B★2カポネ大いに泣く(1985/日)オフビートな安っぽさを狙うには実は戦略的周到さが要件なのに露骨に安さが画面を牛耳ってしまった。監督がアホしても熟練のスタッフが支えた日活時代をまんまシステム崩壊後の80年代にリピートしようとしても通じる訳ない。清順の誤算が無惨。投票(1)
C★53−4X10月(1990/日)平素がどうであれ男達が有する内に秘めた怖さの突発的表出に対する既視感を繰り返しクローズアップ。わけてもたけし渡嘉敷コンビの個人史に基づくリアリティが傑出してる。シュールな展開も脳内組成でない肌感覚。北野最高作。投票(2)
C★5ソナチネ(1993/日)ルイ・マル鬼火』と並べてもいい「死にたい男」の厭世観が蔓延するキタノ・ブルー代表作。死に場所を探すでもなく唯待ち続ける倦怠感が沖縄の海と空の空虚さに助長される遣り切れなさを精緻に描いて奇跡的な達成度と思う。投票(7)
C★4あの夏、いちばん静かな海。(1991/日)フィックスと歩行の移動のみで構成された反復のリズムが心地いい。サイレント基調なこともあり一種絶対映画の域に迫れそうだが、照れ屋のたけしは崇高化寸前でギャグのジャブをかまして外す。悪い奴は1人も出てこないが押しつけがましい善意も皆無だ。投票(2)
C★4BROTHER(2000/日=英)いつもと同じならまだしも逆境の異国で芽生えた異文化間の友情みたいな風化コンセプトを持ち出して来たんじゃ後退だと思うのだが、しかし加藤雅也石橋凌といった従来にない見映えするキャラクターをアメリカ風土に立たせて暴れ回らせた点は買う。投票
C★4その男、凶暴につき(1989/日)通行人が巻き添えで撃たれるところが『フレンチ・コネクション』を想起させる以外は、快感をもたらす映画的カッティングのリズムから遠く隔たった地平で孤絶した厭世感を叩きつける。孤独な作業を全うしたたけしの妥協なきクールネスこそが格好良いのだ。投票(7)
C★3菊次郎の夏(1999/日)極私的であることに異論はないが、普遍のフィルターを濾過しようと皆苦労する。ナマに投げ出された感情を受け入れろと言う姿勢は甘え。しけた風景の中でしけた連中がしけた話を展開するが音楽だけがやたらオーバー。岸本加世子の役作りだけがプロっぽい。投票
C★1HANA-BI(1997/日)ソナチネ』な厭世刑事の『あの夏』な無言劇…だが哀しいまでに上滑り。丸眼鏡からはみ出たたけしの顔はおだて上げられ自己愛で腐臭を放っているかのようだ。伊丹が『マルサ』で周防が『ダンス』で陥った自己模倣の陥穽に似て性質は更に悪い。投票(1)
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