コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ガメラ対大魔獣ジャイガー(1970/日)

ガメラ映画の何が良いかっていうと……
荒馬大介

 昔のガメラシリーズのどこが良いかというと、子供にとって痛快極まりない設定とあらすじだったということではないかと思う。

 そもそもガメラが子供好きだという設定からしてそうだが、それが明確になるのは『対宇宙怪獣バイラス』以降のこと。まあこの辺は、製作状況の厳しさから今までのように大掛かりなことをやって客を呼ぶということが出来ず、既存の設定を使ってどれだけのことが出来るかという挑戦だったのだろう。だとすれば、子供好きだということを堂々と打ち出してそれでとことん突っ走ったほうがやりやすい。正義なのか悪なのか何とも中途半端な位置にいたゴジラよりずっと分かりやすくてよろしい。実際子供時代はゴジラよりガメラの方が好きだった。

 ではどの辺が子供にとって痛快極まりないかというと、「ガメラが子供の味方だということを知っているのは子供だけ」ということに尽きる。大人は「怪獣だ」の一言で善悪の区別もつけず全て済ましてしまうが、子供には分かる。ガメラは僕らの為に戦っているんだ、ガメラは僕らの味方だよ!こんな感じで子供達はガメラを応援し続ける。映画の中で、子供はガメラに敵意を抱いていない。そういう子供達に対してガメラは優しい。その子供達の期待に答えるために戦っていると考えてもおかしくはないだろう。こんな感じで作られた映画を嫌う子供がいるだろうか?まずいない。

 とにかくこれだけ割り切って、子供が見ることを前提として作られた映画なのだ。これを大人の視点でバッサリと切り捨てるのは言語道断、ボロクソに批判するのも筋違いである。そういう方は、ありとあらゆる子供向けの製品を作っているのは大人だということを忘れてはいまいか? そういう「分かってない大人」の存在くらい子供には分かるし、子供にとって一番不快なのはそういう大人の考えなのだ。それらを打破する痛快性を子供たちは少なからずとも求めている。だからこそ、ガメラがあるのだ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (15 人)kiona てれぐのしす[*] 甘崎庵[*] アルシュ[*] 新町 華終 ゼロゼロUFO[*] ペンクロフ V・D washout fufu ジャイアント白田[*] cinecine団 空イグアナ chokobo[*] カズ山さん

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。