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[コメント] 宇宙大怪獣ギララ(1967/日)

いろいろ研究したという割には全然ダメ。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 自分自身の中では例えこれ以降どんなにヒドい映画が出ようと「オールタイムトホホワースト10」の中から外れることはないであろう作品がこれ。自分は怪獣映画好きではあるが、こいつはどこをどうやっても好きになれない。

 まず特撮がショボい。宇宙船アストロボートの造形はいいのだが、ロケットの噴射口から出る炎が貧弱すぎて実に頼りない。出すなとは言わないが、出すんだったらムーンライトSY−3(『怪獣総進撃』)くらいやって欲しい。宇宙空間に煙がモクモクあがってしまうという欠点こそあるが、勢いあるジェットならその宇宙船の力強さは表現できるはずで、実際先のムーンライトうんたらはそうなのだが、アストロボートはそれさえ感じさせてくれない。折角のデザインの良さが台無しである。  しかも宇宙に限らず地球でも、ミサイルの炎がこれまた貧弱でどう見てもゴムで飛ばしてるようにしか見えないのはつらい。ビルが壊れたり戦車が火を噴くにしても、高速度撮影もろくにしていないし爆発の効果音も迫力ナシ。もっとどうにかならなかったのか、と本気で思ってしまう。

 さらに特撮に輪をかけて「どうにかしろよ」と思ってしまう本編。一人の宇宙パイロットにまつわる女同士の三角関係、みたいな話が筋になっているが、はっきりいって見ていて臭いし白々しい。途中で「どうでもいいや」という気分にさせられること請け合いだ。

 まあ仮にこれを百歩譲ったとしても、この映画の困ったところは山ほどある。核分裂だか融合だかしてエネルギーを取り出せるような物質、しかも宇宙ロケットの推進力となるような物質をヘリコプターで運んだあと(普通は安全の為に車で運ぶんじゃないのか?!)、所員が担いで倉庫に入れる(フォークリフトぐらい使えよ!)というのは絶対におかしい。メインタイトル後のシーンでこんなに不安にさせていいのだろうか。この映画の為に海外で映画を学んでいた監督を呼び戻し、新鋭の特撮監督を起用して、色彩研究等も行っていたというが、それだけのことをやってこれは無いだろう。

 ちなみに以前「松竹映画史」といった感じの書籍を読んだことがあるのだが、この映画も2ページにわたって書かれていた。が、特撮がどうこうという点に関しては一言も触れられていなかったのである。それだけ特筆すべきところがない、ってことか、この映画は?

(評価:★1)

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