[コメント] 評決(1982/米)
『十二人の怒れる男』の正反対を試みて成功している。本作の主役は、選考会の断片以外一言も喋らないが、やはり陪審員なのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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陪審員たちはコステロ証言の記録抹消を認めなかったのだ。ニューマンの「貴方が法だ」という最後の訴えに応えたのだった。そのとき陪審員たちは私たち観客の思いを代弁してくれた。
教会附属病院を批判する内容からカソリック批判とも云われた作品らしいが、本質的にキリスト教の精神に満ちた作品である。元看護師の保母に会いに行って協力を求めるときのニューマンの顔がいい。こんな顔されたら協力せざるを得ないだろう。真摯な人間の顔だった。
平凡なドラマ演出なのだがポイントではとても前衛的なのだ。医療ミスの不条理への怒りはただ、植物人間となった被害者の、ゆっくりゆっくり現れるポラロイド写真の現像の長回しで示されている。
弁護士ジャック・ウォーデンの押しの強い造形が抜群でさすが。中途半端な客寄せパンダのシャーロット・ランプリングは全く不要だったが問題はない。裁判長が判事の肩越しに質問を取ってしまうような光景は驚きだが、あることなんだろうか。
再見。こんないい映画だという記憶はなかった。子供の頭で観られた映画は可哀そうだ。見直すに限る。
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