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[コメント] 夕陽のガンマン(1965/伊=スペイン)

クラウス・キンスキーがただの雑魚扱いされてしまうのだからリー・ヴァン・クリーフの強さは計り知れない。ここではクリント・イーストウッドより強いと見るべきだろう。オープンセットの外観はもちろん、ジャン・マリア・ヴォロンテのアジトの内装などもよい。
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ここでのレオーネのガンファイト演出は確かによいけれども、それだけで映画史に名を残すほど傑出したものではないだろう。この映画がすばらしいのは全篇が緊張感漲る頭脳戦としても演出されていることであり、それはヴァン・クリーフ、イーストウッド、ヴォロンテという獣性とともに知性を兼ね備えた俳優たちの功績でもある。

そして、ヴァン・クリーフとイーストウッドの足の踏み合い&帽子の撃ち合いや、イーストウッドと線路脇に住む爺さんのシーンなど、すべての場面を面白くしようというレオーネの頑張りが何より嬉しい。レオーネの場合はその頑張りが裏目に出ることも少なくないのだが、それもまたよし、と思わされてしまう愛らしさがレオーネの映画にはある。

ところで、あの懐中時計オルゴールの音楽もやはりエンニオ・モリコーネの仕事なのだろうか。ただの粗野な殺し合いのはずが、そこに繊細な情感さえも生まれているのはあのオルゴールのメロディによるところが大きい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)Lostie[*] シーチキン[*] ぽんしゅう[*] ナム太郎[*]

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