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[コメント] 夕陽のガンマン(1965/伊=スペイン)

とにかくこの映画はリー・ヴァン・クリーフ。当初はチャールズ・ブロンソンの代役としてオファーされた彼だが、この何気ない出来事が彼自身とマカロニに新たな歴史を刻むことになろうとは当の本人ですらも想像し得なかったに違いない。
ナム太郎

荒野の用心棒』を当てたセルジオ・レオーネが「もっと多くのドルのために」制作したクリント・イーストウッド主演第二弾だが、多くの方々が仰っているように、この映画の主役は間違いなくリー・ヴァン・クリーフである。まず彼の登場シーンからして汽車はおろか時をとめるほどの輝きに満ちているし、終始変わることのない瞳の美しさやキリッとした立ち振る舞いの格好良さは、ルーズな格好良さでキメるイーストウッドの対極にあるものとして映画的にみても非常に効果的だ。

また相変わらずの悪役ぶりが冴えるジャン・マリア・ボロンテの存在感も圧倒的だ。前作での好演からイーストウッドとともに欠かせぬ存在となった彼だが、今作でもいい意味での調子に乗った感じがインディオという役にはピッタリだった。

やや残念だったのはイーストウッドの扱いが中途半端だったところだ。脇に回るなら回るでもう少しうまいやり方があっただろうにと思うのだが、それもまたレオーネなのだと今回は笑いながら目をつぶることにしよう。

とにかくこの映画はリー・ヴァン・クリーフ。当初はチャールズ・ブロンソンの代役としてオファーされた彼だが、この何気ない出来事が彼自身とマカロニに新たな歴史を刻むことになろうとは当の本人ですらも想像し得なかったに違いない。その意味ではこの作品もまた映画史に輝く記念碑的作品と言ってよいだろう。

誰もが真似た口笛のメロディとともに忘れようにも忘れられぬ映画だ。

(評価:★5)

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