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[コメント] エンド・オブ・ホワイトハウス(2013/米)

作品制作のたびに主要スタッフの総入替えを行うことが常となっているらしいアントワン・フークアは、良くも悪くも新作に過去作と同等の品質を約束しない。前作『クロッシング』で観客を魅了した撮影の深度とキャラクタ造型の機微は大幅に失われ、映画の知能指数はかなり低めに仕上がっている。面白いが。
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**ネタバレ注意**
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占拠されたとは雖も勝手知ったるホワイトハウス、地の利はこちらにある。という展開に強調が足りない。もっと端的に云えば、ホワイトハウスを「からくり屋敷」として描いていないのが不満だ。ジェラルド・バトラーが無敵を誇るのは一向に構わないが、これでは舞台がホワイトハウスであることのアクション映画的な必然がない。

敵機の急襲から占拠完了に至るまで、無辜の市民や政府職員が次々と虐殺されていく光景は「人は一発の銃弾で死ぬ」ということを淡々と執念深く写し出し、戦慄を覚える。ここで深く刻み込まれた為す術のない無力感が貯金となって、以降のシーンで不甲斐ない体たらくが続いても面白さの収支は赤字を免れている。

これはこれで面白い映画ではある。しかしロバート・アルドリッチ作品としては決して上出来とは思えなかった『合衆国最後の日』はやはり凄かったのだとの思いを新たにするばかりだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)jollyjoker[*] まー[*] カルヤ[*] 中世・日根野荘園 サイモン64 けにろん[*]

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