実に虚しい出来だ。演出の創造性は前作よりも遥かに貧弱で、二輪車そのものを地対空迎撃弾化するという馬鹿げたカットを持つオープニング・シークェンスが消極的に最良である、とでも云っておくほかない。

しかし、だからこそ役者の地力を見定めやすいという面はあるかもしらない。この面子にあってもウィリスはまさに役者が違う。随所で優れたコメディ・センスを発揮するラングレンがいなければ全篇を見続けるのは苦痛だっただろう。スタローンもむろんすばらしい俳優だ。ジェイソン・ステイサムごときがそのスタローンの右腕面をして憚らないというのはいまだに納得がいかないが、持ち前の寛恕の精神をフルオープンして咎め立てまではすまい。だが、このシュワルツェネッガーには心から失望した。アクション俳優の表情をまるで忘れてしまっている。

確かにシュワルツェネッガーとウィリス、シュワルツェネッガーとスタローン、シュワルツェネッガーとチャック・ノリスがひとつのフレームに収まったカットを見れば「貴重だな」「縁起物だな」と思う程度に私もミーハーな観客ではあるけれども、しかしやはりこれは「映画」でなければならないはずだ。この程度で満足してよいのならば、彼らが談笑でもしている本番前後のオフショットのほうがよほど高い価値を持つ。