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[コメント] ある男(2021/日)

安藤サクラと比較すれば窪田正孝の負い目は薄くなる。自分の決断が招いた災厄だから安藤の自責には根拠がある。窪田の境遇に自身の責任はなく、しかも不利益は内面にとどまり社会化が乏しい。負い目の社会化は妻夫木聡を通して代理的に発現するに過ぎない
disjunctive

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







絵のつながりの強引さは自責の軽さの傍証であり、境遇の苦しさが自己完結するのなら、ナルシシズムと区別がつかなくなる。不幸を次々と呼び込みジャンルすらも変えてしまう安藤の薄幸顔は、その構造力ゆえに文弱根暗ナルシシズムと呼応して媚び声を放ち、邪念は真木よう子の場違いなかわゆさを経由して昨今ミシェル・ウィリアムズ並みに文系殺しが板についてきた河合優実のタヌキ顔に到達する。さすがに丸出しの欲望に気まずくなったのか、真木のかわゆさにはオチがつく。

(評価:★3)

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