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[コメント] 世界の中心で、愛をさけぶ(2004/日)

「純愛の聖地・庵治町」へ行きました。
きわ

庵治町は、映画のロケ地になった香川県のとある漁村です。母の実家も香川県なので、この間帰省した時に行って来ました。

私の母は、「冬ソナ」をきっかけに、韓流・純愛ブームにどっかりと乗り、昼も夜も韓国ドラマ浸りの人です。そしてこの『世界の中心で、愛をさけぶ』ももちろん鑑賞済みです。一方、私はと言えば、なぜか「冬ソナ」は好きなのですが、『耳をすませば』なんかが大大大嫌いな人間で、性に対する欲も興味もむくむくと芽生える思春期の中・高校生が、手も繋がない、キスもしない、エッチなんてもってのほかな、無菌、純粋、「南アルプスの天然水」のような、いわゆる「若者の純愛」がどーーーにも受け入れられない人間です。そんな私が未鑑賞のまま、母に引きずられながら連れて行かれた「純愛の聖地・庵治町」。(ほんとにこういうキャッチコピーなんですよ。町役場に置いてある「ロケ地ガイド」に書いてあるんです。)

思ったよりこの庵治というところは「セカチュー」のロケ地としての宣伝をあまりしておらず、「ロケ地はこちら」などの標識も最小限でした。当初、あんな香川の田舎の漁村なんかなんでまたロケ地に選んだんだろう、と思っていたのですが、どことなく品のある静かで瀬戸内の海が綺麗な村でした。 8月の太陽がギラギラと照りつける中、住宅の中の細い道を行ったり来たりしながら、あの防波堤へ着きました。行く道、「ここがサクちゃんが車を追いかけながら走った道だ!」「ここが校長先生のお葬式のあったとこだ!」と興奮する母の説明に辟易していた私もやっと、「宣伝で見たから知ってる場所」へたどり着きました。

観光客は私たちの他は若い男の子二人しかおらず、村と同じのどかな風景の普通の防波堤でした。ここまできたならと、「純愛」への嫌悪は棚にあげ、防波堤へ上ります。すると向こうへ屋島がはっきりと見え、きらきら光る海と、静かにゆく漁船が目に入り、さらに美しい風景になりました。肌が焦げるほど照る日差しは相変わらずでしたが、景色の爽やかさに暑さを忘れるようでした。そしてやっと少し、世界の中心で愛をさけぼうとすることや、ミネラルウォーターの恋も芽生えるであろう、この町ならそれが似合うであろう、という風に思えたのです。

そうしている間に次々と観光客が増えてきました。地元の家族連れ、名古屋ナンバーの若者、バイク二人乗りカップル。「サクちゃ〜ん!」とはしゃぐ女の子を見届け、家路に着きました。帰る道、映画、借りてみようかな・・と思いました。恋人が横にいなくても、自分がもう高校生じゃなくても、純愛うさんくさいと思っていても、恋する二人を観て自分も恋したくなってまんじりとしようとも、レンタル屋で「セカチュー」を手に取る自信が出てきた、ある夏休みの日でした。(05/8/22)

関係ない話なのですが、私と母を庵治へ連れていってくれた祖父は、「世界の中心で、愛をさけぶ」というタイトルを「世界の中心で、愛をささやく」と言いました。「そうか。おじいちゃん達の時代は、愛はささやくものだったんだな。今はさけぶんだ。さけばないと言えないんだな。」と、妙に一人で考えました。

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