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[コメント] あらくれ(1957/日)

高峰秀子にはすっごく映画的な聡明さを感じる。数ある喧嘩シーンの中でも加東大介にホースで水をかけるシーンの高峰の憎憎しげな顔!もうたまりません。そしてその後、夏枯れで店を畳んだ後に加東とやり直し始める下宿の2階のシーンの高峰は打って変わってメチャクチャ可愛いのである。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 このような対比は成瀬の上手さもあるが高峰の映画感覚の高さを物語るものだと思えて仕方がない。少なくもあんな憎憎しげな表情は演出家にやれと云われてもすぐできるものじゃないだろうし、ほんと高峰の才能です。

 また、本作の映画中映画「金色夜叉」の見せ方も成瀬らしい捻った見せ方だし、高峰が洋装して自転車に乗る唐突さにも驚かされるが、ラスト近くの位牌の見せ方の潔さには唸らされる。このシーンの千石規子のワンポイント登場、その後の墓前のシーンも見事です。そしてラストの雨のシーンで着物のすそを端折って帯へさし、傘差しながら歩いて行く高峰の姿も素晴らしい。これらは本当に一例。全体的に突出して面白いシーンが多くて却って少々散漫な印象を与えてしまっていると云ってもいいぐらい。

#山のシーンで登場する精米所の主人・志村喬が高峰の胸を掴む。「大きいね、この人のおっぱいも」 「さらし巻くぐらいですよ。みっともなくて」 なんと、高峰の胸が大きいという設定だ。実はこのシーンが一番吃驚。

(評価:★4)

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