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[コメント] 家族の灯り(2012/仏)

テーブルの上のランプや街のガス燈といった現代の光とは違う光源を基にした光の扱い。(いや太陽光も月光も現代とは異なるという認識でいいのかも知れない。つまり現在とは違う光を志向していると。)また家の外の舗道や家の外観の美術装置も美しく、レナート・ベルタによる柔らかな光の回り具合は絶品だ。
ゑぎ

 或いは、二人の人物が交わす退屈な会話をフィクスでとらえ続ける挑戦的な演出にも言及したくなる。いやしかし、本作で一番驚いたのは、四人の老人−ミッシェル・ロンズデールクラウディア・カルディナーレジャンヌ・モロールイス・ミゲル・シントラ−の会話シーンで、雷と雨音がし、皆一斉に窓外を見るカットだ。これがどんなカットか仔細に記述するのは避けよう。ワンカットであっても、プロット展開上は大きな意味を持たない部分でも、これを喋ればネタバレになる、というものだ。遠回しに云うと、私は見ながらドライヤーの遺作『ガートルード』における視線のギアシフトを思い出した。別に類似の演出というわけではないのだが、それぐらいのインパクトがある繋ぎなのだ。103歳のオリヴェイラはまだまだ驚かせてくれるし、まだまだ瑞々しい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)disjunctive[*] ぽんしゅう[*] 水那岐 けにろん[*]

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