[コメント] フラガール(2006/日)
昭和40年代の斜陽の炭鉱町という世界を隅々まで真面目に作ろうとしていることに好感を抱く。方言、長屋のセット、背後に聳え立つボタ山。そして、「保守」のメンタリティ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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このような「挑戦」の物語においては、対立軸となる「保守」の立場をどれだけしっかり描けるかによって訴求力が全く違ってくる。その点で、序盤における富司純子が体現する「保守」の描き方が非常にしっかりしているのを観て、感心させられるとともにかなり期待を持った。食卓の場面で、この炭鉱は陛下も視察にお見えになったとか、外国がオイル売ってくれなくなったらどうするね、絶対に炭鉱は必要だ、とか言い放ち、豊川悦司や蒼井優に一言も言い返させない迫力。それがあまりに素晴らしかっただけに、その「保守」がダンサーたちの「挑戦」によって絆されていく瞬間を如何に表現するか、自分の期待はその一点に集中したのである。
そういう意味では、残念ながら若干期待外れに終わってしまった。富司が荷物を届けに練習場を訪れ、一人レッスンする蒼井の姿を目撃する場面。無言で視線を交わす、あの場面は悪くない。蒼井のダンスにそれだけの説得力があるのも確か。が、その直後、富司がいきなりストーブを集め出すのはやや性急であるように感じる。「保守」が崩壊する瞬間、それをもう一歩踏み込んでフィルムに刻みつけて欲しかった。
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