普段から、生まれついての悪役のような超悪役って、なんか嘘っぽいというか現実感がない、と感じていたので、悪役ってそうやって生まれるのか、と素直に納得しました。悪役としてしか自己の存在を肯定できない者の悲哀が画面全体から感じられて、嫌いじゃないです。この画面全体ってところがポイントで、作品全体がラストへの伏線になってるんだ、と感心しました。無駄なように見える親子・夫婦間の問題や、主人公の必要以上の葛藤なんかも、存在の相対性を問うラストに繋がっていくのか、と穿った見方もできてしまう。そう考えると『シックス・センス』でも、映像全体の雰囲気も数ある伏線のひとつだったかもしれないな、とか。

　まあでも、期待してたのとはちょっと違うわけだし、面白かったかどうかと言われれば返事に困るし、評価はこんなもんですかね。