この映画への世界規模での熱狂が理解できない。どこを切ってもベタな‘大作’だと思うのだが・・・。

ストーリーはハッキリ言って平凡過ぎて、興味があまり沸かない。『スター･ウォーズ』や『マトリックス』のようにある程度区切りになっているわけでもなく、序章的に未完成のピースだらけで終わるのも1本の映画としてはどうなのだろうか？映像は綺麗だが、いかにもハリウッド色のVFXとニュージーランド観光な遠望シーンの繰り返しで飽きる。何よりも致命的なのは、キャラクターの意志が感じられないこと。舌足らずなのか、それとも、もともとああいう人物像なのか知らないが、共感できず、おかげで映画全体の感動が薄い。性格とか衣装とか武器とかも概してB級RPGみたいで面白みに欠ける。特にホビット組は全員行動原理がうやむやで、さらに戦闘要員でもないため、チョコマカとうるさいだけ。唯一、自分の関心を引き付けてくれたのは哀愁男ボロミア。ところが、希望の星であった彼は「待ってました！」という所で即退場。（笑

もう1つ、「見せ場」と「そうでない箇所」とがハッキリ分かれていた気がする。会話シーンは言ってみればザコ会話（例えば「ドラクエ」でボタン連打して飛ばすような会話）が多い、もっと削れるはず。移動シーンも不必要に長い。全体として、そういうダルいシーンと品のない豪華CG見せ場との交互の繰り返しだったと思う。世界観を楽しませたいのなら、もっとワンシーンごとに細かい遊び心を利かせて、さり気無い程度でCGクリーチャーを登場させたりしたほうが幻想世界の魅力が出ただろうに・・・。

そんなこんなで個人的にはとても楽しめたと言える作品ではないのだが、あちらこちらで大好評のこの作品。サッパリ理由が分かりません。監督の志は非常に高いのかもしれないが、要約・凝縮の努力が感じられない遅い展開も、明らかに未完のままの発表である事も、自己満足としか言えない。やはり、好きな方には申し訳ないが、自分にはかつてに類を見ない過大評価作品としか思えません。