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[コメント] ホーリー・モーターズ(2012/仏=独)

冒頭、映画ツールのはじまり、根源的なモンタージュが示される。人生とはその役柄を演じることである様式の様々なエピソードが10以上も映像化される。人生とは虚飾であり、われわれが生きていることはすなわち仮面の世界である。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







そして映画はそれを虚像として我々に示す、、。

この映画は、人生とは、という人間を考察したものではない。ましてや人生の悲哀をつぶやいたものでもない。人間を通して100年以上描き続けた映画に関する想いを描いたものである、と思う。そしてそれは全編通じて臭っている映画の死でもある。

あちらこちらでしつらえている過去の映画へのオマージュは、けれども懐かしさよりむしろ絶望に近いものへと変質していることにわれわれは気付く。

フィルムの終わりが映画の終わりだなんて僕は思わないが、この作品にはカラックスの映画への哀切の思いが溢れているのだろう。それをどうのこうの言うつもりは僕にはないが、この映画を見て例えば映画って素晴らしいなあ、とかプラス思考に働くことはそうないだろうと思う。

絶望からは何も生まれない。やはり生きている人間には希望が必要なのだ。カラックスのこの映画の想いを理解できないではないが、それでも僕は映画に何かを信じたいと思うのだ。映画は永遠に不滅である、と思う。

カラックスを批判しているのではありません。現代においてまさに映画そのものを描こうとする映画作家がまだいることに喜びを感じます。難解な描き方でないことに好感を持ちます。まあ、カラックスお得意のペシミズムだと思っちゃいましょう。

(評価:★4)

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