映画のコピーに今まで感心したものは実に少ないけれど、この映画はどれもがいいなあ。「人生を変えるほどの切なさが、ここにある。」「神さま、この話だけは見ないでほしい。」「誰かが来るのを待ってたんだ。ディランを歌う男だとは思わなかった」これだけで一冊の詩集ができそう。

一つ一つのセリフも粋で、楽しく、悲しく、切なくこんなワンシーンが大切に思う映像もまあ珍しいなあ。何より瑛太、関めぐみ、松田龍平の通常を超えた世界が素晴らしい。特に男二人の関係がさらりとしてさわやか、また透明感さえある。女を通して濁らないところがいい。

それを聞くいわゆる狂言回しの濱田岳も抑えた演技でいい。でも、意外なんだけど主役なんですよね。大塚寧々の強さもいい。でも何といっても、瑛太の身体からずしんと出るセリフの大きさ。彼の代表作かもしれないなあ。いい演技だ。

僕はこういう青春時代の、ひとときのいとおしい瞬間を描く映画は大好きです。というか、いまだにそういうものを求めて映画を見ているのかもしれません。秀作です。