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[コメント] ジゴロ・イン・ニューヨーク(2013/米)

夫婦関係の心の枯渇を金銭による肉欲の充足で補うインテリ・レズビアン(シャロン・ストーン)。死別による物理的な愛欲の欠落を、宗教という外的規範で埋めようとする未亡人(ヴァネッサ・パラディ)。朴訥なジゴロは「花」に水と光を与え生気を回復させる。
ぽんしゅう

映画作家としてのジョン・タトゥーロがニューヨークの人間関係のなかに、再構築しようとするのは心と体の平穏なバランスだ。外見はくたびれて枯れたようでいながら、子供たちと活き活きと接するマレー(ウディ・アレン)の私生活の活写が、シニカルに人種や階層による差異を強調して描くアレン自身が監督する映画と対照的なのも面白い。そもそも、こんな楽しげな役柄のアレンを見た記憶がない。

ファーストショットから目を引く、いささか不自然に色彩を強調したマルコ・ポンテコルヴォの撮影も全編通して妖しく美しく、この映画は「肉欲と精神のバランス」の回復の話であるという意志をバックで支えして主張しているかのようだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)irodori[*] けにろん[*] ペペロンチーノ[*] 3819695[*]

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