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[コメント] 座頭市血笑旅(1964/日)

子守りを雇いながら、赤ん坊が心配でたまらない市。市を追い続ける石黒達也をはじめ敵が弱すぎて困るが、クライマックスの決闘&虚無感に満ちたラストは名演出。
AONI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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徹底的に赤ん坊がメインの話。勝新と高千穂が赤ん坊に本気で愛情を注ぐ過程をシツコイまでに描く。いよいよ別れる間際になって、「これは鼻、これは口、これ(目)はない・・・ 」と赤ん坊の手を自分の顔に当てていくシーンには素直に心打たれる。

クライマックスの、先端に火のついた竹槍で取り囲まれて襲われる殺陣が出色。命乞いする金子信雄を見下ろす勝新の顔を、先程の竹槍の残り火が照らす画も効果抜群だ。さすが三隅研次監督! それにしても敵が弱い。今回は手強い刺客&悪知恵の働く親分が登場せず、次々と雑魚どもが襲いかかり市に斬られまくるだけ。てんで勝負にならない。

もう一つ秀逸なのはラストシーン。何度かすれ違う盲目仲間の旅一行を、最後だけ挨拶もせず隠れるように見送る座頭市。赤ん坊と別れを告げ、誰とも話をしたくない気分だったのだろうか。座頭市の孤独をさり気なく伝える名演出。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)赤い戦車[*] けにろん[*] sawa:38[*] shiono[*] ぽんしゅう[*]

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