囲碁に録音、催眠術にアニメ。少女漫画にのど自慢、太極拳に逆上がり。オタクだとか、孤独だとか、頭がおかしいとか云われても、何か一つのことを生涯やり続ける。何か一つの目標に向かってひたすら頑張ってみる。その素晴らしさ。それを誰かが観ていてくれたことの嬉しさ。

余りにもくだらないキャラとギャグの合間に埋め込まれた、この余りにも真摯でストレートなメッセージ。それを完璧に表現し、日本人であることに誇りと喜びを感じさせてくれるタイトル。『下妻物語』に全く引けをとらないエンタメ感動巨編である。

「何故、ミキサーになったのか？」と問われ浅野忠信が何気なく応えるこの台詞。「ていうか、なんでミキサーにならないの？ってそういう感じだったよね。（うる覚え）」

監督が本作で云いたかった事は全てこの台詞の中に凝縮されている。鑑賞後、数時間してからジワジワと染みて来る名台詞である。

さて前半、後半共にとても楽しめたのだが、コスプレオタクと地元ヤンキーと生き埋めにされる人が出てくる中盤は酷い中だるみで、一つも面白くなかったのが残念だ。ここをバッサリ切って二時間以内に収められたら、尚、良かっただろう。

あと土屋アンナはもう、今年の新人女優賞は確定ですね。つーか彼女以外ありえない。