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[コメント] 検察側の罪人(2018/日)

脚本と演出のスピード感は楽しめたが、じっくり時間を掛けるべき数箇所を犠牲にした為、心に残る(響く)映画としての完成度を失った。☆3.7点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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先生と呼ばれる3大職業は、政治家・医者・教員と言うが、最近では教員は不当に軽んじられ、政治家は最初から悪人の代名詞になっている。医者は患者の生命を握っているから簡単には軽んじられる事はないが、依頼主の生命を握っていると言えば法律家もそうではないか。

司法試験の難しさは医師国家試験とは比べ物にならない。勉強しかして来なかった様な人達が生身の人間の生殺与奪に関わるのだから、さぞ心労もキツかろうと思うが、絶対的な権力は絶対に腐敗する(J.アクトン卿)のであり、国家権力(絶対権力)を背景とした彼等がそうした環境でどの様なメンタルに陥るかは想像出来るのである。

     ◆     ◆     ◆

詰まり被疑者を前にした検事は絶対権力内におり、自身が危険に晒される虞れは皆無である。緊迫の対決に見える取調室には、絶対権力者といち有象無象が居るに過ぎないのだ。もしモンスターが居るとしたら、取調室の中で刑事や検察官を引き摺り下ろせる者という事になるが、現実にはまずそうした者は存在しない。

同様に、自ら絶対権力の座から降りる者もまず居ないのだ。警察や検察の不正は大抵権力の闇の中でなされるのであり、彼等が自ら殺人という有象無象の所業に手を染めるには相当の状況が必要になる。そこに深い怨みや、事故や、手違いや、焦りが絡んで来なくてはならない。そこには権力者が踊るスピード感とはちがう、時間のズレが必要なのだが、そうした時間の掛け方が、残念ながら出来ていなかったと思う。

(評価:★3)

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