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[コメント] 少林サッカー(2001/香港)

強さとプライド。
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「プライドと強さ」の在り所の微妙な違いが新鮮でした。日本はよく「恥の文化」だとか言われる。他人から辱められる事は「負」。だから屈辱に耐え、「強く」なってそれを「はねかえし」て見返し、プライドを取り戻してすっきりする。そこにフィクションのカタルシスがある所も多い。

でもコレはなんかちょっと違った。

屈辱を自らの中に「飲み込んで」いる感じがする。屈辱を自分の「一部」として、「恥を恥とも思わなく」なる事を大いなる「強さ」としている印象があった。これが「中国文化」なのだろうか?

一番それを感じたのは、変なお化粧になったムイが、散々侮辱された挙げ句に、店長にけなされた時。「私は今日の自分が自分では気に入っているの。きれいになったと思う」と、きっぱりと言う所だ。ブスが「見るからに」きれいになって、他人の称賛を浴びて見返すのが王道だと思っていたのでとても新鮮だった。

監督も後々までファンの白い靴をふこうとする(しかもチームぐるみでだよ(笑))。そんな事は平気なのだ。でも、小切手はもう二度と受け取らない。

みっともない事や、なりふり構わないコトをして他人から「何アイツ!?」「お前なんか」と、侮辱されるのはきっとゼ〜ンゼン平気なのだ。ただ、自分で自分を否定してしまうような事はしない。それが「プライド」。・・・正直言ってこの強さは「こわい」です(笑)。がんばれニッポン。

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ところで中国語全然わかんない自分だけど、きっとまったく字幕なしで観たとしても、お話はちゃ〜んとほとんど意味がわかって、ほとんど同じくらい笑えたと思うぞ!それってけっこうスゴイ事だ。出だしの過去と現在をつないだあたりでも、ファンのメタモルフォーゼと、監督の腹のイレズミとかで、きちんと同一人物だとわかる、絶対「言葉」だけじゃ説明しない。必ずはっきりと「見せて」くれる。ほんとに親切だ親切だ。

(評価:★4)

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