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[コメント] マトリックス レボリューションズ(2003/米)

映像的興奮がなくて、”解き放たれない”
アルシュ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アニマトリックス』の「セカンド・ルネッサンス」を見ると宇宙曼陀羅が出てくるので理解できるんだけど、この世界観はインド哲学。古代インドの宇宙観を反映している。ゆえにインド人が登場し、エンディングにインド音楽が流れているんだなと思う。

アーキテクトは創造主、ネオは救世主、スミスは悪魔である。そしてオラクルはこの2つのプログラムの間に立つ役目を持つ。

マトリックス側もザイオン側もアーキテクトが創ったシミュレーションプログラムである。

アーキテクトのいる世界>ザイオン≧マトリックスってな具合だろうか?

これを僕らの世界に置き換えると、

創造主>僕らの生きている世界>人間によって創作された世界(例えば、映画、小説、ゲーム)

なんだろうな。ゲームの中に存在する生き物が、それが本当の自分たちの存在と思っているかも知れない。彼らにとって命を吹き込んでくれたのは人間であり、神のような存在である。要するに自分たちの生きているこの現実も、創造主の造ったものであり、創造主の手のひらの上で行われているプログラムなのだと言うこと。

また、創造主にしてみれば、「人間の世界」も「人間によって創作された世界」も作り物である。そして、お互いがその存在を気付かない事が両者の安定作動であり、これを壊そうとする行為に対して、それを越えた行動を人間が示したときに、神は鉄槌を振り下ろす。それは人間の宇宙(太陽系外)への侵出だと思うわけ。

・・・とまぁ、こんな事を訴えたいのだと言うことは理解できる。

■では、次に自分なりに感じた『レボリューションズ』の良かった点を列挙していきます。

・機械やっつけて万々歳にしなかった点。

・スミスがネオに勝利したと思いサングラスをはずした時、大グチを開けて高笑いしたあの人間離れした顔、素晴らしかった。ヒューゴ・ウィービングのあの強烈なイメージは、今後彼のどんな映画を観ても抜け切れそうにない。

モニカ・ベルッチの乳。

■反面、自分なりに感じた『レボリューションズ』がダメな理由を列挙していきます。

・ポッと出の脇キャラが多く出てきて、メインの登場人物がすっかりかすんでしまっている。

・今後出来るネットゲーム「マトリックスオンライン」が完結になるらしい。つーことは、「始まりが有れば終わりがある」って嘘じゃん。

・『マトリックス』にあった「弾丸エビゾリよけ」「地下鉄空中銃撃戦」「柱ボコボコ」など、『リローテッド』の「ボンネットつぶしエージェント」「落下銃撃戦」などの”印象的な絵”が例えパクリだとしても何もなかった。

・マトリックスのウリであるべき「カンフー」「ワイヤーアクション」「ブレットタイム(マシンガン撮影)」が殆どない。

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スミス(悪魔もしくはテロリスト)の勝利で終わったなら、世界秩序の崩壊である。ネオがスミスを倒したことにより、最後にアーキテクトがマトリックスの住民に「マトリックスから出る」という選択を与えたのは、アーキテクト(神)のネオ(救世主もしくは革命者)との契約履行である。これが革命(レボリューションズ)でありマトリックスから人間が”解き放たれる”わけ。

反面、この映画を観ている我々には、従来のマトリックスに期待した”映像的興奮”がない。

鑑賞した世界の多くの人々が”解き放たれない”まま終わってしまったのは間違いない。

きっと、「アニマトリックス」やネットゲーム「マトリックスオンライン」などの抱き合わせ商法で、僕らをまだマトリックスの中に閉じこめて置くつもりらしい。

(評価:★2)

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