サリー・フィールドのキャラを前面に出し、男にだらしない田舎女が女闘士へと変貌していく様を柱にしながらも、教会（牧師）という扱いづらい題材等を有効に配し、人種問題や女性問題等へも鋭いメスを入れるマーティン・リット演出に感服した

例えば、クライマックスの組合誕生のシーンに、映画的には脇役であった工場内の工員たちの興奮の様子をまさに彼らが主役のごとく熱く切り取ってみたかと思えば、それまで主役たる活躍を見せた２人が柵の外におり、「UNION」の合唱でその瞬間を悟るところを落ち着いたショットで収め、ラストの静かな別れのシーンへと流していくなんてところなんかも、ああこの監督は映画というものをわかっているなと心底感心した。

さらに言うなら、紡績工場の横への動きを中心とした機械の様子と音を散々見せておいたあとに、「UNION」のボードを、あの小さなサリーが頭上へと掲げ、それを合図に機械や人の音と動きが止まるなどという心憎い演出も、計算ずくでありながら、それを自然に感動的に見せるのだから参ってしまった。

末筆ながら、本作でカンヌとオスカーを受賞しながら、そののちも『トランザム７０００　ＶＳ　激突パトカー軍団』なんかに出て義理をはたすサリー・フィールドにも心からの拍手を。