[コメント] バッファロー’66(1998/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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そんなそぶりはなかったけどきっとレイラはビリーに一目惚れしていたのだと、ワタシは思う。 でなきゃたいした抵抗もせず車になんか乗りはしないだろうし。逃げ出すチャンスなんかいっぱいあったんだから。
「なんだかこの人ちょっとおかしいみたい。興味あるわ」…てな気持ちでレイラはビリーについて行ったのかもしれない。 (言うまでもないですがここでの「おかしい」は「コイツ頭おっかしいんじゃねぇんか」ではなく「ファニィ」ってことですよ。)
そして溜めに溜めて用を足したビリーが戻ってきた時につく「ホゥ フォウ フゥ …オゥゥ 」の 長い安堵のため息。 次に何を言い出すんかと思いきや丁寧に謝罪をしはじめる…。これでもうこの男から目が離せなくなってしまったねこれね。
行動を共にしていくに連れさらに判っていく彼のへんなこだわり、へんな自分の世界、そして繊細な心、優しい心も 持ち合わす奇妙な男ビリー。 自分では気づいてないんでしょうけど充分魅力的な男だよこの人。
でもこの「奇妙さ」ってのは一歩間違えればとんでもないものにいつだって化けるのだが、ビリーはギリギリのところで踏ん張ってくれる、うまい具合に持ちこたえてくれている、イキな男。 そういう才能(?)に恵まれているだけでもこの男は全然ダメ男じゃない。
これから起こりうることを想像して具合が悪くなってしまったり、精一杯の冒険は様子を伺いながらのチュウだったり、 一大決心をしてみて「へへへんやってやるぜ」と粋がってみるけど最後まで空想を抜け出せなかったり、 子供のような表情でなにかに夢中になったり、子供のような言動しかできなかったり、 そこにある愛に気づけば他人にもおせっかいにも自分の幸せを分けてやりたくなったり… こんなダメ男愛せずにいられるか。
そんな男をレイラは温かくありったけの母性で包むだろう。 でもレイラだけじゃないよ。 ワタシだって包み込んでやりたいさ。 ただしワタシの場合は必ず言動に一言一言ツッコミを入れてから「カワイイ奴ぅ」と グシャグシャと包み込むだろうな。 レイラのように聖母的魅力はないけど的確にツッコミをやります、ってんじゃ …惚れてもらえないかしら。
ビリーとレイラにこんなに心をほんわかさせてもらったのに、ストリッパーの店襲撃で … ああ … (絶望) …と思いきや想像で終わってしまって、よかったぁ〜とここで素直に喜んでりゃいいものを、物事の裏の裏を探るようになってしまったワタシはまだ油断できない!と 「ダメだ道路を突っ切ったらきっとトラックが!!」とか「深夜の店は絶対危険だ!ほら後ろに座っている男が、いやきっと入口から2人組の男が…あ〜だからアメリカ映画はよぅ」と 、悪いほう悪いほうに考えてばかりいたのでラスト何も起こらずビリーとレイラの寝顔、そして THE END を 観た瞬間この映画が愛しくてたまらなくなった。
…うん。ビンセント・ギャロは信じていい男だったよ。 すべてが終わってから愛しさが一気に溢れる映画。 すばらしいです。
でもワタシはレイラよりももっと前にビリーに一目惚れしてたもんね〜。
刑務所からやってきた ローライズな半ケツビリーに。
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