[コメント] さよならくちびる(2019/日)
いたたまれないような沈黙といがみ合いは、慕情の交錯すらも治療してくれない「解散」という事実への急接近が醸し出すものだ。ただ自分らの歌を愛してくれるファンたちのエールも、赤裸の身には塩水のように肌を焼く余計な気遣いか。でも、それは麻薬に似た二義性を示す。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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それすなわち終幕の能天気な和解と、解散の棚上げである。確かに耐えがたい反目と張り詰めた空気を味わいつつ画面を凝視し続けるのは辛いのだが、「麻薬」による「癒し」が安心をもたらす終幕は別な意味で居心地を減じられた。惜しまれつつ分解する美しさもあろうに、ことここにおいては明るさは醜悪だったように思われた。
蛇足。小松菜奈はきちんと歌えるのだ、と実感させられた身には、『坂道のアポロン』の終幕で小松がジャズナンバーを口ずさむ機会を奪われた理由がますます判らなくなってはいる。スウィングしていない、などという理由ならそれは高望みにほかならない。いや、無関係なコトではあるのだが。
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