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[コメント] バーニング 劇場版(2018/韓国)

ジョンスの好きな作家はフォークナー。ベンが短篇集を読んでいた、というのはベンのキャラクターを表している。(酒場での会話の知ったかぶり。)
ゑぎ

 何と云っても、夕景の中、ジョンスの家の庭で3人がパーティをするシーンが突出しており、どうしても、こゝを書きたくなる。陽が陰っていく中、裸になって踊るヘミの身振りと、それをとらえるカメラの素晴らしさ。考えてみると、その登場から彼女はダンスをしており、その後、パントマイムやアフリカンの踊りの再現等、随所で彼女の身体運動が挿入されるのだ。「ない物をあると思うのではなくて、ないということを忘れればいい。」だとか「リトルハンガーとグレートハンガー」等という、人を煙に巻くセリフ以上に、彼女はダンスをする人としての位置づけが重要だと思う。

 後半になって、ヘミの行方が分からなくなるとともに、前半中盤で広げられたいくつかのアイテムが、何が真実で何が嘘なのか、分からなくなる。井戸、ビニールハウス、あるいはボイルという名の猫。ピンクの腕時計等々。この展開が、本来、プロットとして映画的な部分だろうと思うのだが、未解決で放りっぱなしにするのはいいのだが、謎を謎として突き放してなお、震撼とさせられる、というような出来になっていないのが物足りない。ラストは並々ならぬ演出力だとは思うけれど、やっぱり、中盤のジョンスの家の庭のシーンばかりが、思い起されてしまう。

 付け足し。ヘミのアパート、この坂道の途中にあるロケーションはとてもいい。「一日のうち、一瞬だけ陽がさす」という光に関する魅力的な状況がセリフとしてあり、その見せ方も、なかなか良いシチュエーションではあるのだが、画面造型としては、分かりにくく、中途半端に思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)irodori セント[*] けにろん[*] ぽんしゅう[*]

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