[コメント] ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男(2017/英)
それも2回も、だ(カレーの城塞の場面と、雨の中、屋上で傘を持って座っているチャーチルが、上空を見上げる場面)。という訳で、本作は、史実を描くと見せながら(というか概ね史実であることは違いないのでしょうが)、多分にフィクショナルな、作り物感丸出しの娯楽映画の演出がなされている。俯瞰以外にも、窓からの白い斜光の多用も(議会でも、宮殿でも)象徴的だ。対比するように、外光を取り入れる窓がない地下の執務室や閣議室も出てくるが、この作戦本部の扉にある小さな窓の演出も、かなり凝ったものになっている。あるいは、車の中から路上を見るチャーチルの見た目で、市井の人々を横移動の高速度撮影で撮った場面だとか。はたまた、子供が、上空の飛行機を、手を丸めて望遠鏡のようなイメージで見るのだが、その手の空間を細めていくことによってアイリスアウトのような画面になる、なんて面白いこともやっており、ジョー・ライトの演出技巧はとても楽しいのだが、果たして、本作の題材にマッチしているか、と云うと疑問を感じてしまう部分もある。(カレー玉砕の描き方に関しては特に)
さて、本作はチャーチルとその妻−クリスティン・スコット・トーマス、チャーチルと秘書−リリー・ジェームズという2人の女性との関係を丹念に描く部分でも見応えがあるが、もう一人、国王ジョージ6世−ベン・メンデルソーンとの関係の変化も感動的だ。メンデルソーンはコリン・ファース(『英国王のスピーチ』)に比べて幾分控えめに吃音を表現している。あと、チャーチルが地下鉄に乗って庶民の意見を聞くシーンも感動的ではあるのだが、流石に作劇的過ぎるというか、臭すぎる。
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