[コメント] 家族はつらいよ2(2017/日)
下流老人の最期を、こんなにも軽く弄んでも顰蹙を買わないなんて、そんじょそこらの若造に出来る芸当ではない。ただの通俗喜劇にみえて、創作という代替行為を笑うことで、現実の深刻さを嗤うという老映画作家の達観に、積み重ねた年季の意図せざる凄味を感じた。
どうでもいいことかもしれないが、丘陵地を造成したような急峻な住宅地で、駅から徒歩で20分以上かかり、子供たちが野球の多摩地区の決勝大会に出場し、横浜市の救急車が駆けつけ、警視庁の捜査員が訪れる平田家って、いったいどこの町にあるのだろうか。伝統的な大船の家族ものしかり、過去の山田洋次作品でも生活の立地場所は、物語の重要なファクターとして特定されていたと思うのだが。
その点、三男の嫁・憲子(蒼井ゆう)の母と祖母が暮らす街が、柴又だと示唆されるシーンには思わず頬が緩む。
あと、「エッツ、これってソール・バス?」な、横尾忠則デザインのクレジットタイトルの“モダン”に、1950〜60年代映画の郷愁を見た。
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