前作での好ましかった点がすべてご破算になってる。知的なトムさん、ふいに挟み込まれるコメディなシーン、最小限の動きで魅せる格闘シーン、ストーリーと無縁な女優の卓越した身体...etc.。

一転、本作では、普通に派手に闘い、走るトムさん。緊張感はあっても緩急がないので少し物足りなさが残る。ハロウィンの雑踏に紛れて逃げるシーンは、前年に公開された『007スペクター』の「死者の祭り」のシーンに少しかぶる。

コビー・スマルダーズ のセリフや活躍に現代性を見せるが、それが最も印象に残ってしまうシーンであり、シリーズものとしてパンチが足りない。

この映画、決して嫌いじゃないけれど、どの方向にでもいいからもうちょっとはじけてほしかった。