シリーズ最高と言ってもいい豪華キャスト。正直もうたまらんです。特に前作『広島死闘編』でクラクラするほど格好良かった成田三樹夫の更に上を行ってしまった小林旭。入院中の無精髭も、明石・山守組幹部の調停シーンのクールな気概も本気でたまらんです。たまらん。

　やっぱり日活の大スターをシリーズに迎えるにあたって、半端な役は用意できなかったんですかね。そう考えると役名「武田明」の「あきら」もファンサービスかも知れません。菅原文太に「あきらぁ！」って呼ばせたいっていうね。意外と細やかな気遣いだ。まぁそんなわけで、金子信雄の下に菅原文太と小林旭と成田三樹夫と山城新伍と田中邦衛がいるっていう絵ヅラだけで、僕はもうほぼ満足だったのです。

　にも関わらず、更に二転三転のストーリーが観る側の心を掴んで離しません。1作目の「荒々しい緊張感」と同等の面白さを続編で出すために、今度は「緻密さによる緊張感」を持ってきたってことでしょうか。抗争になりそうでならないギリギリの緊張感。誰が敵で誰が味方かもわからない緊張感。喧嘩なんざ始まっちゃったら後は派手なだけですからね。水中から口だけ出して呼吸してるみたいな息苦しさがたまらなく心地よいです。

　また基本的に「広能がもどかしい」本シリーズにおいて、今作での打本との盃を巡る広能の策略は、かなり「してやったり感」が強いシーンでもあると思います。

　というわけで、たまらんたまらんとビリビリ打ち震えている内に観終わってしまったたまらん映画でした。もう堂々の5点。

　あ、あとその他のたまらん

・バーで打本をイビる山守組長の「泣かんの、泣かんのよぉ」

・セリフもないのに異常に存在感のある明石組組長丹波哲郎