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[コメント] パシフィック・リム(2013/米)

エヴァ』や『ガンダム』に首を突っ込んだおぼえのない観客こそ楽しめるだろう。中二病とは無縁の、プロフェッショナルな戦士たちが矢面に立つ1960〜70年代SF王道作品の匂いがする。当時の、戦闘隊員たちの肉体派・頭脳派の書き分けと均等に見せ場を用意される王道の物語の、先鋭的クリーチャー描写との幸福な合体こそがこれだ。
水那岐

機動戦士ガンダム』を最後に絶滅したと思われる、「総合SF物語」の正統な後継者は多分ここにあるのだろう。熱血武闘派、冷静な隊長格、メカオタの学究派といったキャラクターの若者たちが集い、それぞれにベストを尽くして侵略者に立ち向かう。さらに彼らの出身地も東西さまざまだ。もちろん老若男女誰しもがそれぞれの活躍の場をもつ、ドストエフスキーの作品群を指すような「総合小説」には程遠いのだけれど、充分にどんな人でも自分を投影できるばかりか、無駄な人物というものがいない潔い作品のことを、「総合SF」と呼びたいのだ。

「役割」はいつしか差別表現の温床のように呼ばれて久しいのだけれど、14歳のスリムで美しい少年少女しか前面に出てこない某ロボットアニメ以降、その「異常さ(もちろんスタッフはそんなことに気づいているのだろうけれど)」だけを表面的に移殖したかのような追随作が連発されることに辟易していた自分には、恥ずかしいけれども日本人は見本にしてもらいたいと本気で考えている。子供文化としてはより健康的なありかただと信ずるがゆえに。

(なお、特撮のすばらしさは他の方々が十二分にふれていらっしゃると思われるため、あえて言及は避けておきます)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)クワドラAS[*] まー けにろん[*] 3819695[*]

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