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[コメント] バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏)

コーエン兄弟の真骨頂たる与太話系傑作。馬鹿げたフリして案外巧妙に出来ている。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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下世話な動機で行動しているだけの登場人物が誤解を重ねて互いを巻き込み深刻な事態に発展していくという展開はありがちといえばありがちだが、観ている側からすると彼らの下世話な動機と愚かなる誤解をすべて眺めている分、事態の深刻さへの共感も同情も生まれず(あっさり殺されてしまうブラッド・ピットにだけは同情すべきかもしれないが)、さらにCIAの上層部がその同じ立ち位置をなぞって説明してくれるという構成が実に巧い。

そして、このCIA上官たちのダイアログの間が絶品(J・K・シモンズ最高!)で、「ロシア?!」だとか、「奴がアクセスできるセキュリティレベルは?」「レベル3です」「よし、ほっとけ」だとか、「いくらかかるんだ?」「全身整形で…」「出してやれ」だとか、実に楽しい。おまけに、「今回の件から学んだことは?」「何もありません」「よし」なんて科白で〆られて、映画にとって「意味」なんてどうでもいいことだと常々思っている自分のような観客からすると、これ以上痛快なことはない。

出演陣が繰り出す芸達者ぶりも嬉しい。フランシス・マクドーナンドは一挙手一投足が全て可笑しい、マルコヴィッチのキレ芸、ピットの道化っぷり、ジェンキンズの哀れさ、そしてティルダ・スウィントンの憎たらしいインテリ嫌味女っぷりも素晴らしい。

(評価:★4)

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