[コメント] バンク・ジョブ(2008/英)
面白い。現在このような傑作でも何でもない「普通に」面白い犯罪映画にスクリーンで出会える喜びはことのほか大きい。そう単純ではない物語にもかかわらず、理解に困難を生じる箇所がひとつもないという語りの手際のよさは大したものだ。却って「分かりやすすぎる」と不満を覚えるくらいか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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しかし最大の不満は、キャラクタに面白味が薄く、チーム結成の仕方・チーム成員の関係性に感動がないことだ。あるいは、いまだにアルドリッチや『サンダーボルト』を求めてしまう私のほうが時代錯誤に陥った阿呆なのかもしれない。イギリス映画らしさとして肯定的に評価するべきものなのかもしれない。だが、私はやはりキャラクタに愛着を求めてしまう。「敵」と通じていながら決して「裏切り者」というわけでもない、という興味深い位置にチームの紅一点を置いているにもかかわらず、それが面白さに絡んでこない。仲間たちの拷問や死も観客の心をえぐるには至らず、劇を展開するための一要素として消費されてしまう。このようなチーム演出の淡白さは映画全体の淡白さにつながっている。流麗に語られたたいへん面白い映画だが、これでは私は打ちのめされない。
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