[コメント] 時をかける少女(2006/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
変奏の中に変奏があって、その変奏の中で変奏に次ぐ変奏の連続を見るような展開。でも忘れてはいけない。変奏には必ず主題が存在する、ということを。
生傷をこさえながら転がりまくるこのヒロインを見ていると、なんだか玉石混交の変奏を繰り返しながら、ようやく自分の「主題」というものを見つけたかのようだ。でも、おそらくきっと、そこから本当の変奏が始まる。そんなもんかもしれない。かつては不協和音にしか聞こえなかったものも、主題を知ってはじめてその意味を知ることができるように。心地よいだけの変奏を続ければ、そのうち味気なく退屈になることを知るように。
書いてて何だか少し気恥ずかしくなりますが、青春映画なんだしそれもアリかと。ともかく、緻密に練られたお話のトータルの印象を言えば、そんな感じでした。黄金の二等辺三角形に初めはイヤな予感もしましたけど、そのぬるま湯加減を捨ててまで大切なものを追い求めるヒロインの姿には、素直に応援したくなりました。です。
ともあれ、こういうアニメならではのリズムがいきづいている映画は、観ていて気持ちが良いです。一見イマドキの日常を模写しているようでいながら、それでもいざ実写でやったとしても、ここまで無理なく、効果的に、静と動のコントラストはつけなれなかったでしょう。その効果を熟知していればこその、静と動の間での絶妙な飛躍、そして呼応が味わえた気がしました。セリフもやり過ぎ感や取ってつけた感がなく、センスの良さを感じました。
(2007/7/20)
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