所詮映画なんて「ウソ」で成り立ってるのだから、ことの信憑性なんてこの際二の次。ただ、そのウソに見合うだけのハッタリかましてくれなきゃ、そりゃあちっとも面白くないよ。

問題なのはイエスの末裔を画面に登場させちゃう突飛さ以上に、「あの彼女がそうなら面白い･･･」とこれっぽっちも思わせてくれないことでは。個人的には「何やっちゃってんだろこの人たちは」で終了。自分がそうなんだから、キリスト教圏内の人たちの失笑もさもありなん。

期待していたよりもはるかに「謎」の少ない映画。考えをめぐらす余地がないというのか･･･古の時代の再現映像にしろ「最後の晩餐」の図解にしろあまりに直截的で、ことごとくこちらの空想を阻害する。そういうのはテレビの特番の領域じゃないのだろうか。むしろ特番の方がダ･ヴィンチの謎は謎のまま終わるので、ナンボかマシな気が･･･。

一連のダ･ヴィンチの謎を彩る様々な「記号」。それらをかなり直截的な言葉や映像で解説してくれている。けど、それを映画的な面白さに繋がる記号として変換してやろう、という気概はほとんど感じられない。個人的には、何よりそれを一番期待してたんだけど。ともあれ、ダ･ヴィンチという名を堂々と冠するからには、そのことを意識に置いた緻密なモノを期待してたのは、多分自分だけではないと思う(原作未読。というか読む気失せます実際)。

ただ、相変わらずイアン・マッケランは群を抜いて素晴らしかったデス。

(2006/5/20)