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けにろんさんのコメント: 更新順

★3エンド・オブ・ホワイトハウス(2013/米)自国中枢を白昼蹂躙される。覚悟を決めたテロルの呵責無いジェノサイド。ナウな時代感覚で掴みは良かったのだが、まんま『ダイ・ハード』展開が透けてくると一気に冷めた。1人のヒーローと能無し上層部。お決まりのお膳立てが誂えたアメリカ賛歌は虚しい。[投票(3)]
★4華麗なるギャツビー(2013/米)逐一絵面で説明したがるラーマンに語らずに語るの極意なぞ言っても無駄なのであって、原作文を得意げに画面に貼る恥知らずにはキッチュの本質をさえ窺わせる。ともかく画面を虚構で充実させる努力は大したもので、それが主人公の本質に絶妙にリンクする。[投票(5)]
★4嘆きのピエタ(2012/韓国)醒めた憎しみを滾らす子と母の予断を許さぬ展開が、近代化が崩壊し行く世相を背景に錯綜と混沌のスパイラルを形成するかに見えた前半。しかし、「愛」を肯定する胡散臭さで一気にトーンダウンする。それが理に落ちすぎる終盤の仕掛けの便法に見えるから尚更。[投票(1)]
★3しとやかな獣(1962/日)川島は何だかんだやってるが地に足がついてない感じで、本質による必然から遠いので歯車が噛み合わない。ロジカルに構築された新藤脚本の図式性ばかりが鼻につく。若尾文子の色気が特筆もんなだけに、やはり増村市川ならと思わせた。[投票(1)]
★4アイランド(2005/米)新味無き題材をベイが如何に料理するか期待もしてないが、体力勝負に出たあたり涙ぐましくさえあった。半端ない中盤の展開。高層ビルの縦方向の落下チェイスが高速道の横方向の弩級の破壊ショーに繋がる緩みの無さ。この部分だけでご飯3杯はいけそう。 [投票]
★4箱入り息子の恋(2013/日)手を握ったときの嬉しそうな仕草ひとつで男は変われるし何でもできる。閉塞状況を打破したい願望が渦巻く今このシンプルな提言を噛み締めたい。市井演出は時間軸の把握に余りに無頓着な一方、アングル使いやカメラ揺れに対象への慈しみが溢れ独特である。[投票(3)]
★4流されて…(1974/伊)システムに順応していても環境変われば瞬く間に適応するポジティヴな本能。見事に図式的ストーリーだが、笑っちまうくらいの明け透けが堪らない。安いズーム使いの醸す大らかな余裕とシニカルで饒舌な批評観。これはフェリーニからアレンへの橋渡し。[投票]
★3コンシェンス 裏切りの炎(2010/香港=中国)主役2人の確執は大して劇的緊密があるわけでもなく、寧ろカイチーパオチャンたち双方の脇キャラの切実なドラマが泣ける。だが、何と言ってもダンテ・ラムの過剰が炸裂するクライマックス。炎と水と火薬と血と赤ん坊の産声。わやくちゃである。[投票(1)]
★5イノセント・ガーデン(2013/米)垢抜けぬミアが本性を現し血の因果律の頚木を断ち切り乗り越える。何か新たなサーガの序章であるかのような奥行きが俄かに立ち昇る終盤に射られた。チャヌク演出には乾いた西洋的合理と淡い幻燈のような東洋の幽玄が共存。随所でカッコよさに痺れる。[投票(1)]
★3ローマでアモーレ(2012/米=伊=スペイン)若手2人の恋話はボールドウィンを語り部として登場させることで得意の分析話術から寓意性が喪失し凡庸。アレンベニーニが担う2つの超現実的小話もペネロペ絡みの艶笑譚も総じてモッサリし噛み合わずとっちらかった印象。冴えない集大成。[投票(1)]
★4タイトロープ(1984/米)ダークなトーンが一貫しており、しかも自らがド変態世界に越境する一線を踏み越えた内容。警官が主役で一発の銃声も響かない。同時期で前後する『ハリー4』と、あらゆる意味で対照を成す中期の佳作。ビジョルド始め渋好みの配役も愛娘起用の瑕疵を相殺。[投票(1)]
★5スリー・キングス(1999/米)チョイ悪野郎どもが欲を捨て立つ胡散臭さを認めつつ、しかし、妻を子を殺されたイラク男たちの想いは置き去りに能天気ガイは生き延びる。クールを越えブラックに至るアイロニー。朝鮮を中東に置き換えた『M・A・S・H』焼直し版はナウな視座に充ちている。[投票]
★3リアル〜完全なる首長竜の日〜(2013/日)ハッタリが転じて何かしら形而上的なムードを醸すならともかく、馬脚を現しジュブナイルな怪異譚に矮小化する様は、まるで『回路』の焼き直しのようだし、終盤にヤンチャし放題なのも同じ。首長竜の動きはオットセイぽくて気持ち悪さがある。唯一素晴らしい。[投票]
★4ハイティーン・ブギ(1982/日)シリーズ最高作。4作目ともなれば皆堂に入って来たところに日活職人舛田利雄を持ってきた英断。東宝子飼の温い河崎義祐との格の違い。一瞬たりとも緩まない。脳天気馬鹿マッチも良いが俊ちゃんの翳りをフィーチャアしたセンスを買いたい。[投票]
★3オブリビオン(2013/米)まあ、一応ビジュアルは良しとしても、フリーマン以下の面々が物語的に機能せずで寧ろ妻への想いの純度を薄め切なさを拡散。で、彼らがいないとしても、このネタは余りに近年で多く語られハードルが高い。そして案の定、超えてない。健闘作だが志は低い。[投票(7)]
★5グランド・マスター(2013/香港)ど素人のトニーをカット割りとスローで修飾したのではなく、カーウァイの必然としてそうなった。魂は逸らしてない。武芸に秀でても普通人な葉門を翻弄する時代の流れ。流れに抗して潰える高潔な魂ツィイー。ダダ漏れな情緒に浸りきる背徳的快楽。[投票(3)]
★3G.I.ジョー バック2リベンジ(2013/米)数多くのキャラが各々一応は立ってた前作に比べ、なんじゃこれはという感じで、いっそスネークアイとジンクス2人の嬉し恥かし世界に耽溺したかった。町に戻ったドウェインのここぞとばかりの眼力披露メンチ切り。世界に危機にそんなんやってる場合かよ。[投票]
★5マイ・プライベート・アイダホ(1991/米)過去から未来へと連綿と続く孤独ロードを描くにリバーの刹那が相乗され哀切極まりない。しかし、これはむしろサントの実験意欲が随所でサビを効かせ、2作目にして行き着いた感を醸す無比なる完成形。その後が出し殻にすぎないと思わせるほどに。[投票(1)]
★3ドラゴン・タトゥーの女(2011/米=スウェーデン=英=独)請負仕事を無難にこなしているが、抽斗の範囲に留まり新たな何かを模索した形跡は感じない。事件を追う主人公と無関係なリスベットの描写が並立する前半に穴があるのだから、どうせなら、もっと解体再構築するべき。彼女を徒に乙女チックにするのなら尚更。[投票(1)]
★5プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命(2012/米)漂泊に終止符を打つのは新たな命であり、しかし、その命は否応なく宿命に支配される。この一見救われぬサーガを悲観や諦念で言うは易いのだが、映画は視線を逸らさず見つめ続ける。そうするしかないとでも言うように。70年代ニューシネマの最高形での復刻。[投票(1)]