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[コメント] わたしを離さないで(2010/英=米)

俺があと30歳若かったらノレた設定かもしれないが、それでも「だから?」って感じ。キャリー・マリガンは良かったし、劣化したキーラ・ナイトレイもハマってたけど。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ガタカ』的な臭いを感じて観に行ったのですが(『ガタカ』はスクリーンで観なかったことを未だに後悔している)、この話、『スカイ・クロラ』と何が違うの?

背景の世界観は広いんですよ。 しかし、物語として描かれる範囲は実に狭い。 いや、「エヴァ」や『スカイ・クロラ』も同じようなもんなんですが、そこにはもっと「生きるとは」「人間とは」という根源的なテーマがあったし、掘り下げようと努めていた。 しかしこの映画は、台詞としてナンジャカンジャ言うものの、物語的には三角関係の収束に終わってる気がするんですよ。『タッチ』かっ! 例えば「オリジナル」を見に行く場面。あそこはもっと深い何かが描けた気がするんです。 「自分のオリジナルは何なのか」もっと苦悩して、初めて本当に世界と関わりを持てるんじゃないのだろうか?

そもそも世界との関わり方が淡白でね。これは世代の差なのかなあ。 昔は違ったよね。 『ブレードランナー』って言うと思うでしょ?実は『パピヨン』の方が対極にあると思うんだ。 まあ、『パピヨン』は「そこまでやるか(苦笑)」って暑苦しさもあるけど、背景たる広大な“世界”と戦うんですね。 でもこの話は、あくまで決められたルールの中で、ちょっとだけバタバタするだけ。 これは時代なのかなあ? 『パピヨン』まで暑苦しくなくてもいいから『ブレードランナー』ではあってほしい。 そうでないと映画化する意味が分からん。 お前らが勝手に決めたルール(世界観)の中で勝手に泣いたり笑ったりしたところで、「だから?」って感じ。

海に行くシーンがありますね。 あそこは、彼らが知らない“広大な世界”に触れるシーンのはずなんです。 原作がどうかは知りませんが、もし原作にあるシーンなら、作家には意図があるはずなんです。 しかし映画は、単にキーラ・ナイトレイが告白するシーンに置き換えてしまう。 (もし原作にあるシーンなら)この映画は表面上のストーリーを追っているだけのように思えるのです。 あの海(それもわざわざ封鎖を超えてまで向かう)は、確実に、彼らが閉じ込められている世界の果て、あるいは向こうの世界なはずなんです。 なんであーも扱いが軽いかな。

そう考えると、話(設定)の面白さと美しい撮影は認めないではないのですが、映画として物語を消化(昇華)しているようには思えんのですわ。まあ、原作知らんから何とも言えんのだけどね。

それと余計な話だけど、『NEVER LET ME GO』って小説も同じなのかしらん? ツマラン部分を切り取ったもんだし、映画じゃあんまり活かされてもいない。 『歩いても歩いても』を見習った方がいい。

(11.05.08 TOHOシネマズ日比谷シャンテにて鑑賞)

(評価:★2)

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